東海3県給食アンケート調査結果について

東海3県給食アンケート調査結果について

大沼淳一(市民放射能測定センター:略称Cラボ)

1.はじめに

「東海ママネット」および「未来につなげる・東海ネット」が行った「学校給食における放射性物質濃度測定体制に関するアンケート結果」について、統計的な解析は、もう少し時間をかけてやることにして、とりあえず簡単な考察をする。

2.回答率について

愛知県85%(46/54)、三重県76%(22/29)、岐阜県86%(36/42)

この種のアンケート調査としては高回答率である。福島原発事故を受けて、その深刻さが反映しているものと考えられる。その意味では、無回答だった自治体の意識の低さが問題にされるべきかもしれない。目立った大きな自治体の中で無回答だったところをあげると、愛知県の一宮市、三重県の津市、岐阜県の中津川市であった。県庁所在地でもある津市は、どうして無回答だったのだろうか。改めて無回答の理由を聞いてみたいものである。

3.給食食材の放射能測定実施自治体

愛知県では何らかの測定を行っていると回答した自治体が12自治体、4月から測定予定が3自治体、開始時期未定だが測定予定が2自治体、合計で17自治体にのぼった。これに対して三重県では予定も含めてゼロ。岐阜県は2自治体、大垣市(測定中)、岐阜市(4月から)であった。

これだけだと愛知の自治体の意識の高さが示されているようであるが、詳細にみるとそうでもないことがわかる。(財)愛知県学校給食会から食材の提供を受けている自治体が9自治体もあり、学校給食会が行っているサーベイメーターによるスクリーニングをもって「測定している」と回答しているのである。GM型であろうと、シンチレーション型であろうと、サーベイメーターによる測定での検出限界はせいぜい100Bq/kgである。人倫にもとる暫定規制値500Bq/kgを超過していないことは確認できるが、4月から施行される新基準では、この方法ではスクリーニングにもならない。その他の岡崎市はスクリーニングにもならない簡易空間線量計、新城市と高浜市もサーベイメーターと回答している。評価できるのは、豊橋市のNaIシンチレーションスペクトロメーター(Cラボと同等レベル、ただし外注で、本年4月から自前の測定機になる)と名古屋市のゲルマニウム半導体核種分析装置だけである。しかも、名古屋市は1か月に3検体しか測っていないので評価は低くならざるを得ない。

岐阜県の岐阜市はゲルマニウム半導体核種分析装置で本年4月からゲルマニウム半導体核種分析装置で測定開始予定としている。大垣市は、NaIシンチレーションスペクトロメーターを早い時期に購入して測定を開始しており、東海地方で最も先進的な自治体として評価できる。ただし、測定精度がどのくらいなのかが不明であり、測定値の公表をしていないのは残念なことである。せめて測定機種名が明らかにされないと、精度の評価もできない。

4.食品中放射能をどこが測るべきか

この回答として最も多いのが国や県が測るべきだとするものである。測定する必要はないという強硬な回答をしてきたのが、美濃加茂市と名張市、伊賀市の3自治体である。これとは反対に、市町村が測るべきだと回答したのが、三重県の明和町、紀宝町、伊勢市、愛知県のあま市、尾張旭市、日進市であり、この項目無回答の名古屋市も独自測定を行っているのでそれを加えて、合計7自治体にすぎない。地方の時代が来たと言われながらも、依然として中央集権型、上意下達型から抜けきっていない日本の政治システムの欠陥が露呈して、主体性のない市町村が圧倒的に多いことが示されている。

5.弁当持参の許可

学校給食についての放射能チェック体制の不備を心配する親が、子供に弁当を持たせようとするときに、それを許可している市町村がどれくらいあるかというママの会らしい質問項目である。許可している自治体数は多くはない。三重県ではゼロ、岐阜県は山県市と瑞穂市のみ。愛知県は大治町、大府市、岡崎市、刈谷市、北名古屋市、新城市、瀬戸市、津島市、東海市、東郷町、豊田市、豊橋市の合計12市町村である。この問題は、放射能問題だけでなく、アトピーなど以前から問題となっていたことも関係しているので、許可している自治体ごとの許可を巡る経緯を聞いてみたいところである。

6.おわりに

これだけの調査を敢行したママ達の頑張りはたいしたものである。それに比べて、市町村側の危機感の薄さ、あるいは、「測ってみて出てしまったらどうしよう」という事なかれ主義を感じる。日頃「安全安心」を旗印にしているはずの多くの自治体が、放射能汚染の危機にあたって、なんとも情けない対応ぶりであり、とても市民の、とりわけ子供たちの健康と生命を守ろうという態度ではない。「政府が安全と言っているのだから安全だ」などという回答をする市町村担当者が多数いることがすでに各地から報告されているが、まさに、まるで主体性のない中央追随型の地方政治が蔓延していることの証明である。

ダメな政治、自治の名に値しない腐った政治を変えることが出来るのは市民の力しかない。長い汚染時代が始まって1年、放射能との戦いと同時に、ダメな自治体を変革する戦いをしていかなければならない。

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