【声明】川内原子力発電所1号機の起動に抗議する

【声明】川内原子力発電所1号機の起動に抗議する

本日8月11日、九州電力株式会社は川内原子力発電所1号機を起動し、原子炉内で核分裂連鎖反応を開始した。4年5ヶ月前、東京電力福島第一原子力発電所での未曾有の大事故を経験した私たちは、二度とこの惨禍を繰り返してはならないと誓い、原発依存社会からの決別を望んできたにも関わらず、国と電力会社は、科学的、民主的とはほど遠いお粗末な手続きで、再び無謀な原発回帰を果たそうとしている。

再稼働の要件とされた原子力規制委員会による新規制基準の適合性の審査は、火山影響審査一つをとっても杜撰きわまりない。現行の火山影響評価ガイドは、巨大噴火の予測ができることが前提となっているが、大半の火山学者がこれに異を唱えており、日本火山学会もガイドを見直すよう提言している。予測ができなくても兆候を摑んで対応するという九州電力の主張は、既に普遍性がないと批判された唯一の海外事例を兆候の判断基準にしており実効性がない。そもそも、5つの巨大カルデラ火山の近傍に位置し、少なくとも3万年前の姶良カルデラの巨大噴火で火砕流が敷地に到達していた川内原発は、立地不適とされるべき原発である。

耐震安全性評価の前提となる基準地震動についても、古い手法で過小に設定されており、現実に起こりうる地震動に対して十分安全側に立った値になっていない。

更に、川内原発1号機は、既に運転開始から30年以上が経過した老朽プラントであり、配管の減肉や疲労などで地震の揺れに対する安全余裕が厳しくなっている部位があることが分かっている。しかし、高経年化対策に関する保安規定の変更認可申請が、規則に反して1年近く遅れたため、スケジュール優先で拙速な評価しかできておらず、現場検証もされていない。

そもそも、新規制基準は安全を担保するものでないというのが原子力規制委員会の公式な見解であり、新規制基準が求める重大事故対策も、海外の基準から見て事故の拡大防止策として不十分であることが多くの専門家から指摘されている。

一方、重大事故が起きた場合の住民の避難計画には、未だに多くの課題が残されたままであり、計画の有効性、現実性について、原子力規制員会を含めチェックする体制も手続きも存在しない。避難訓練もまだ行われておらず、事故が起きた際の責任の所在も不明である。しかも、原子力災害対策指針自体が住民に被ばくを受忍させるものでしかなく、事故対策の限界は明らかだ。

再稼働に関する住民合意についても、立地自治体と立地県以外の隣接自治体、周辺自治体からは反対の声があがっている。直近の全国の世論調査の結果も、川内原発の再稼働に反対する声が多いことを示している。事故の影響が避けられない30km圏内の住民の声さえ聞くことなく稼働を強行することは許されない。

国は2030年の原子力発電の割合を2割強とする非現実的なエネルギー・ミックスを決定し、その原発復帰の第一号として川内原発1号機の再稼働を進めている。しかし、非民主的なプロセスで決められ、国民的合意もない国の原発維持政策によって、処分地も決まらず、安全に処分できるかも分からない放射性廃棄物を今後も際限なく生み出そうというのだろうか。国民の多くは、そのような政策を望んではいない。

東京電力福島原発事故の原因は未だ解明されておらず、放射能汚染水の処理をはじめとして収束にはほど遠い状況である。復興を取り繕うために、強引な住民の帰還政策が打ち出されているが、まだ11万人の人々が故郷を追われ帰れずにいる。事故の後始末すらままならない中で、新たな原発事故を準備する無謀な川内原発の再稼働に断固反対し、無責任な九州電力と原子力規制委員会と安倍政権に対し断固抗議するとともに、今すぐ起動試験を中止することを求める。

以上
2015年8月11日
未来につなげる・東海ネット
名古屋市昭和区鶴舞2-12-2−203
TEL 090-1099-1520 (小室)
mirai.tokainet@gmail.com(代表)
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投稿日: 2015年8月11日 | カテゴリー: 調査・提言 | パーマリンク コメントする.

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