【声明】「エネルギー基本計画案」(2014年1月6日〆切のパブリックコメント)に対して、未来につなげる・東海ネットの声明を出しました

未来につなげる・東海ネットは、現在パブリックコメントに付されている「エネルギー基本計画」案に対し、抗議の意味を込めて声明を発表し、内閣総理大臣と経済産業大臣に送付しました。

パブリックコメントの締切は、2014年1月6日です。ぜひ多くの方から意見を提出してくださるようお願いします。

 政府のパブリックコメントのページはこちらから。

*以下の声明は、PDFバージョンで見ることもできます。

2013 年 12 月 26 日

内閣総理大臣 安倍晋三殿
経済産業大臣 茂木敏充殿

声明
政府は原発ゼロ社会の実現を求める民意を無視した「エネルギー基本計画」案を白紙撤回すべきである

未来につなげる・東海ネット

私たちは、福島原発事故を目の当たりにし、未来に生まれてくる人々に負の遺産を遺す原発依存社会を終わりにしようと活動する東海地方の団体・個人のネットワークです。

12月6日、経済産業省「総合資源エネルギー調査会」の基本政策分科会において、 「エネルギー基本計画に対する意見(案) 」なる事務局素案が突如公表され、パブリックコメントに付されました。ところが、 「案」が外れた「エネルギー基本計画に対する意見」 (以下、「計画案」 )として取りまとめられたのは、13日次の会合であったため、パブコメの対象となる文章が後付けで差し替えられるという事態が生じました。

このように大慌てで策定されようとしている本計画案は、本来は核惨事を引き起こしてしまった反省を踏まえ、この国のエネルギー政策の根幹を定める重要な計画であるにもかかわらず、福島原発事故の深刻な被害を十分に認識せず、原子力発電の持つ様々なリスクや核燃料サイクルの問題点を軽視した上で、なお原発や核燃料サイクルを維持するものとなっています。この案を基本として「エネルギー基本計画」を決定しようとしていることを私たちはとても看過することができません。

以下にこの計画案の問題点を指摘するとともに、計画案自体の白紙撤回を求めます。

そして、民意を正しく反映した新しい計画案の策定作業を進めるよう要請します。

 

1. 「原発ゼロ社会」を指向する国民の意思を無視し、安直なパブリックコメントで拙速な成立をめざしている

福島原発事故の重大性を受け、 基本問題委員会では 2011年秋から33回にわたりエネルギー政策についての議論が重ねられてきました。2012年夏には、 「エネルギー・環境の選択肢」というテーマで国民的議論も行われ、8万9千件ものパブリックコメントも寄せられました。その結果、 「原発ゼロ社会」への明確な国民の意思が示され、それを受けて同年9月に策定された「革新的エネルギー・環境戦略」でも「原発ゼロ」の方針が打ち出されました。

ところが、本計画案では、この時間的、人的、そして経済的資源を費やして到達した結論がほとんど無視され、 「原発維持」という正反対の方針が全面的に強調されています。

基本問題委員会は今年夏になって基本政策分科会に衣替えした際、原発を容認する委員を多く選任したため、その意見が色濃く反映されることになりましたが、公平で客観的な審議がなされたとはとても言えません。

しかも、国のエネルギー政策はすべての国民生活に密接に関わる重要問題であるにも関わらず、この修正された計画案に対しては僅か24日間のパブリックコメント以外に国民の声を聞く手続きは予定されていません。本気で議論を深め、民意を汲み取る姿勢がないことは明白です。

 

2. 原子力発電の位置付けと評価が間違っている

この計画案では、「原発依存度については、(中略)可能な限り低減させる。」 と謳う一方で、原子力発電を「準国産エネルギー源」として、 「優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もしない」と評価し、「基盤となる重要なベース電源」であると位置付けています。

しかし、この認識は福島原発事故以前の「安全神話」やプロパガンダに基づくものであり、非現実的で時代錯誤の認識と言わざるを得ません。

ウラン燃料は100%輸入に頼っています。原発は、中規模の地震でも停止を余儀なくされたり、安全技術の未熟さのため共通要因で一斉停止に追い込まれる場合があるので、安定供給源ではありません。運転コストも稼働率に大きく影響され不安定です。放射性廃棄物の処理・処分が困難であり、後始末のコストも不確定で膨張していく可能性があります。大規模な自然災害などに対して脆弱で、過酷事故を起こせば莫大な社会的費用が費消されるだけでなく、修復不可能な被害をもたらします。こうした数々の「原子力発電の弱点」を見ようともしていません。

 

3 .核燃料サイクル政策の継続は技術的にも経済的にも無理であり、無駄な税金をこれ以上つぎ込むべきではない

核燃料サイクルが完遂しないかぎり、原子力のエネルギーとしての有用性は根拠を失うため、この計画案では、核燃料サイクル政策の着実な推進が原発維持のために不可欠とされています。

しかし、現実的には、運転再開もプルトニウム増殖の実現性も見込みがない高速増殖炉「もんじゅ」や、竣工が20回も延期され営業運転の先行きが見えない再処理工場、使用済み核燃料の貯蔵施設・能力の限界、使用済みMOX燃料の後始末の先送り、そして全国で忌避され、引き受け手のない放射性廃棄物の処分場など、既に核燃料サイクル政策は多くの問題を抱えており、完遂はおろか継続することも困難です。にもかかわらずその現実を本計画案では全く無視しています。

経済的にも更なる国民・消費者の負担増が避けられない核燃料サイクル政策は中止すべきです。そして、原発に依存しない社会の実現をめざしつつ、これ以上の放射性廃棄物の発生を抑制し、その安全で現実的な管理・処理のために持てる資源を投入すべきです。

 

4.福島原発事故がもたらした被害が十分認識されていない

この計画案で福島原発事故の被害に言及しているのは、わずか3箇所の数行だけです。この事故がもたらした深刻な被害に対する認識が全く不十分です。

広域かつ長期にわたる放射能汚染による損害・損失、例えば農業・漁業・畜産業・林業等第一次産業や観光産業等への打撃、生業や住民の生活を支えて来た地域のコミュミニティの破壊やふるさとの喪失、今後も大量に必要となる被曝労働者の健康問題、原発関連死、被曝回避のために費消される社会的費用などが十分認識されているのでしょうか。

 

5. 「世界で最も厳しい水準」とする新規制基準への疑問

計画案では、独立した原子力規制委員会が定めた「世界で最も厳しい水準」の新規制基準の下で安全性が確認された原発については、再稼働を進めるとしています。

しかし、原子力規制委員会自身が、 そもそも規制基準は安全を保証するものではないと言っています。更に、この新規制基準は、旧立地指針で求められていた規制をなくすなど、安全性の要求をむしろ緩くしている部分すらあります。既存の原発の本質的脆弱性はそのままにして、後付けの対策を増やしただけと批判する専門家も少くはありません。新しい規制基準の下で本当に安全性が確保できるのか疑問です。

 

6.福島原発事故に関する国と東京電力の責任をまず明確にすべき

福島原発事故に関する国と東京電力の責任が曖昧にされたまま、原子力賠償、除染・中間貯蔵事業だけでなく、廃炉・汚染水対策についても、国が前面に出て財政的な措置も行うとしています。

しかし、責任の優先順位が無視された現状制度では、今後増加が避けられない国民負担に理解を得ることはできません。 まずは福島原発事故への国と事業者の責任を明確にして、早急に公正・公平で合理性のある新たな体制・法制度の整備などに着手すべきです。

 

7.原発に依存しない社会の実現に向けた「エネルギー基本計画」を出し直すべき

日本は、世界に例を見ない地震国であり、原子力発電に依存することによる事故のリスクは他国とは桁違いです。 しかし一方、 日本列島が地殻変動帯に位置することも寄与して、海に囲まれた豊かな自然という資源を持っています。

利権の温存や政策破綻の責任の先送りのために今後も多額の予算や資源を投入する原子力発電に固執すれば、新しいエネルギー技術の開発意欲を削ぎ、世界市場でのビジネスチャンスをも逃しかねません。

1年余前の民意で示されたように、明確な目標を掲げて原発依存社会から脱却するともに、化石燃料の消費削減と効率的利用を促進し、都市政策や交通政策等幅広い分野を巻き込んで気候変動対策にも積極的に取り組みながら、省エネルギーと再生可能エネルギーを主体としたエネルギー構造の転換を本気で政策的に行っていくべきです。持続可能な社会のためには、それが日本の選択すべき道だと考えます。

以上

【連絡先】
未来につなげる 東海ネット
名古屋市昭和区鶴舞3−8−10労働文化会館201
電話: 050-3500-2887
メール:mirai.tokainet@gmail.com
ウェブサイト:https://tokainet.wordpress.com

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投稿日: 2013年12月28日 | カテゴリー: 未分類 | パーマリンク コメントする.

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