大飯原発再稼働問題で愛知県(知事)に申し入れ

2012年2月6日、未来につなげる・東海ネットは、大飯原発再稼働問題に関して、愛知県(知事)に申し入れを行いました。

愛知県庁の秘書課、企画課、防災局が対応し、東海ネットからは、知事として以下の点を明確にしてほしいと要請しました。

1)安全性の確認が不十分なまま、大飯原発3・4号機の再稼働はすべきでない。
2)国会の事故調査委員会の調査結果を尊重すべきである。
3)再稼働にあたっては愛知県もリスクを負うため、原子力安全・保安院による説明を求める。

以下は要請書本文です。

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2012年2月6日

愛知県知事 大村 秀章 様

提出団体:未来につなげる・東海ネット

関西電力大飯原発3、4号機の再稼働に関する要請書

  県民の安心・安全のために日々ご尽力くださり、感謝いたします。

既に報道されていますように、現在、福井県にある関西電力大飯原子力発電所3、4号機の運転再開の手続きが進められています。関西電力の提出したストレステスト一次評価書に対する原子力安全・保安院の評価案は、一部修正され次の意見聴取会で最終決定されると見られ、この後、地元自治体の同意が得られれば、4大臣の政治的判断により運転が再開されることになります。

■愛知県も当事者

しかしながら、同意を得ると言う「地元」自治体とは、安全協定が既に結ばれている立地町と福井県だけでしかありません。福島原発事故の現実を見れば、放出放射能の影響は福井県内に留まらないことは明らかです。また、原子力委員長も昨年3月、当時の菅首相に対し、福島原発事故の最悪シナリオとして、170km圏の強制移住、250km圏の緊急避難の可能性を報告していたと報道されています。

愛知県は、距離としては大飯原発から120km程度ですが、若狭湾から吹く北西風の風下に位置することから、気象条件によっては数時間で放射性プルームが到達する可能性があります。また、雨が降れば、緊急時避難だけでなく、放出放射能によって住宅地や田畑、山林、水源地が汚染され、長期的な被害を受ける可能性の高い地域でもあります。

にもかかわらず、リスクを負う地域の住民の意思が、原発の運転再開の可否に際して全く尊重されないのはおかしいのではないでしょうか。これは、原発関連交付金を受け取っている福井県とおおい町の判断に、自分たちの安全を委ねてしまうことと同じです。

■防災問題

原子力安全委員会では、原子力防災指針の見直し作業が始まっていますが、まだ「考え方」が示されただけです。また、示された対策区域の範囲も、30km圏の緊急時防護措置区域(UPZ)、や50km圏の安定ヨウ素剤等の備蓄計画を策定する区域(PPA)等と極めて限定的なもので、現実を反映したものとは言えません。

愛知県は、中部電力浜岡原子力発電所と交わしたものと同様の覚書を、関西電力等とも締結するとのことですが、電力会社との連絡体制を強化するだけでは、被害を防ぐことはできないでしょう。

残念ながら、3月11日以降次々に明らかになっている東京電力や国の不手際や怠慢、錯誤、隠蔽などを見れば、もはや電力会社と国の情報を全面的に信用することはできません。

愛知県は改訂した防災計画の中で、平常時の環境放射線モニタリングを実施することや原子力防災に関するアドバイザーの助言を得ること等を盛り込みましたが、実際に異常な放射線を検知した際の対応策が具体的に準備されていない上、多岐の分野の専門性が求められる原子力防災についての助言者が、原子力工学の専門家たった一人ということも心配です。

また、県民を守るためには、原子力防災指針案の「考え方」にも書かれているように「地域防災計画を立案する際に、関連する地元の自治体・住民が関与できる枠組みを構築し、その決定プロセスへの参加を確保することが重要」です。

こうした体制も整わないうちに、原発を稼働していいのでしょうか。

更に、ここで言う「原子力防災」は一次的な対処法にしかすぎません。長期にわたる被害の甚大さに比べて、事後に対応できることは僅かです。これで本当に「防災」と呼べるのかという根本的な問題もあります。

故に、何よりも原発事故を未然に防ぐことが重要であり、原発の運転の可否に関しても、利害関係者としての意思が尊重されなければなりません。

■大飯原発の安全性の確認は不十分

現実の問題として、大飯原発3、4号機の耐震安全性の確認は不十分です。

まず第一に、福島第一原発事故の原因究明は道半ばであり、この段階で十分な対策が取れるはずがありません。政府の事故調査・検証委員会からもまだ「中間報告」が出されただけであり、国会に設置された事故調査委員会の報告書がまとまるのも6月以降です。

現に、津波による全電源喪失以前に地震によって配管が破断した可能性も指摘されており、原子力安全・保安院も、その可能性を否定できないと認めています。これは、従来の地震動解析と耐震設計の手法そのものの信頼性が揺らいでいるということです。

また、想定される地震の規模や津波高さも、過小評価であることが具体的に指摘されています。

保安院も、過去の津波に関する追加調査や近傍の3つの活断層が連動する場合の再評価を関西電力等に指示したばかりです。

■原子力安全・保安院も説明会を開く用意がある

原子力安全・保安院は、1月26日に行われた市民団体との交渉の中で、原発の運転再開問題について、「要望があれば、原発からの距離に関係なく、説明に行く。再稼働については、説明をした自治体と住民の理解を得る必要がある」との考えを示しました。愛知県も要望すれば、保安院の説明会を開けるのです。

県民が心配するのは、再稼働する原発が今後、万が一にでも放射能放出事故を起こさないかということです。この不安が払拭されない限り、運転再開を認めるべきではありません。

以上のようなことから、貴職におかれましても、風下地域の愛知県民の代表の一人として、ぜひ大飯原発の再稼働に関して、以下のことを行っていただくよう要望いたします。

要請事項

1.安全性の確認が不十分なまま大飯原発3・4号の運転を再開することには反対であるという意思を明確に表明してください。

2.福島原発事故の事故原因が十分に究明され、安全対策に反映されるよう、国会が設置した事故調査委員会の調査結果を尊重すべきだということを表明してください。

3.運転再開にあたっては、愛知県もリスクを負うという立場から、県民の理解が必要なことを表明し、原子力安全・保安院に対し、公的な場での説明を求めてください。*

以上

*説明会の要請先:

原子力安全・保安院 原子力防災課 事故故障対策室 第三班長 古作泰雄

防災課 tel:03-3501-1637 fax:03-3580-8539

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投稿日: 2012年2月6日 | カテゴリー: 調査・提言 | パーマリンク コメントする.

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